今夜も安心して眠れるように。
悪夢を見ないためにできること
悪い夢を立て続けに見ると、眠ることが怖くなってしまうことがあるかもしれません。
悪夢を見ないためにできることはあるのでしょうか。脳科学の観点から脳科学者中野信子先生が解説します。
中野信子さんのインタビュー動画はこちら
人が悪夢を見るメカニズム
ヒトがレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返していることはよく知られています。
ノンレム睡眠はぐっすりとした深い眠りで、この眠りの途中で起きても見た夢を覚えていることはほとんどありません。
一方で、眼球運動が盛んに観測されるレム睡眠中は脳が活発になり、この間は鮮明な夢を見ていると言われています。
レム睡眠中は感情処理の脳活動が活発になり、理性的な制御が弱くなるとも言われています。
覚醒時は前頭葉が司る理性が感情をコントロールしていますが、レム睡眠時は前頭葉の働きが抑制され感情に関与する扁桃体が活発化します。
そのため不安や恐怖が強く現れることがあり、悪夢となって再現されます。これが悪夢を見る仕組みです。
悪夢を回避するには?
できることなら、悪夢は見たくないと考える人は少なくないでしょう。
楽しい夢とまではいかなくとも、心地良い寝覚めを感じられるような夢にはしたいはずです。悪夢を避ける方法はあるのでしょうか。
悪夢を見る原因の一つは、日中に経験するネガティブな感情です。強い恐怖や不安を覚える出来事があったり、そのような経験を想起するきっかけがあったりした場合、その感情が睡眠時に影響を及ぼし、悪夢を見させることがあります。
とくにトラウマとなるような体験がある場合は扁桃体の過敏性が高まり、悪夢を見る頻度が上がります。
つまり、ネガティブな感情を引き起こす経験を回避することが、悪夢を見にくくする方法の一つだといえます。
とはいえ、ネガティブな感情になることを完全に回避することなどほぼ不可能です。
どれほど気をつけていても、不測の事態に巻き込まれることは誰にでもありえます。
では、どうすれば少しでも悪夢を見る可能性を減らせるのでしょうか。
その方法の一つが、中途覚醒を減らすことです。悪夢を見ている途中で目覚めた場合、その内容は強く記憶に残ります。
しかし、ノンレム睡眠中や別の夢を見ているときに起きた場合、悪夢の記憶は残りにくくなります。
眠りの質が良ければ悪夢を見なくなるというわけではありませんが、睡眠の質を上げることで中途覚醒の発生リスクを減らせば、悪夢が記憶に残る機会を減らすことはできます。
いずれにしても、恐ろしい夢や不快な夢を見ないためには、日中の活動・選択が重要だといえます。眠ることが楽しみになるような過ごし方や、質の良い眠りを得るための準備ができるといいですね。
この記事の監修者
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医学博士/脳科学者
中野信子 -
東京大学工学部 応用化学科卒業
東京大学大学院 医学系研究科脳神経医学専攻 博士課程修了
フランス国立研究所にて博士研究員として勤務
東日本国際大学教授に就任
京都芸術大学客員教授に就任
森美術館理事に就任
現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。
科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。