枕が高すぎると脳が不健康に!?
脳科学の視点から、枕を考える
私たちは1日の4分の1から3分の1ほどの時間を眠って過ごしています。
その間、人体の最も重要な部位である頭を支え続けているのが枕です。枕が身体に合っていないと、ときに脳に悪影響を及ぼすことがあります。適切な高さの枕を選ぶ重要性について、脳科学者の中野信子先生に解説していただきました。
中野信子さんのインタビュー動画はこちら
脳も身体の一部です
「脳」に特別なイメージを抱いて、重要なことを忘れている人が少なくありませんが、実は脳も身体の一部です。
ということは、適切に血流が回らないと健康を保つことはできません。
これは、起きているときも寝ているときも同じ。身体に合っていない枕などを使用し、無理な姿勢を取り続けると、脳の血流が悪くなり、健康が害されることがあります。
さらに、寝ている間に十分に脳に血流がまわらないことは、脳内の老廃物を洗い流すウォッシュアウトの機能を十分に働かせないことにもつながります。
脳は睡眠時、頭蓋骨のなかでポンピングを繰り返し、溜まった老廃物を流し出しています。
これが行われないと新しいシナプスが作られにくくなり、学習能力が低下し、新しい情報を覚えにくくなるのです。ひどい場合は、脳の萎縮につながります。
脳を健康に保つための枕
脳の血流を確保できる適切な寝姿勢を保つためには、身体に合った枕を使用することが重要です。
身体に合っていない枕は首の筋肉の緊張や血流の悪化をもたらします。特に高すぎる枕を使うと寝返りがしにくくなり、身体の負担が大きくなります。
ヒトは一晩に20回〜30回も寝返りを打っているといわれ、これがスムーズに行われないと、睡眠による疲労回復が進みません。ひどい場合には、眠っているのに疲労が蓄積するということにもなり得ます。
しかし、適切な枕選びというのは本当に難しいものです。頭の形や頸椎口(首のカーブ)の深さなどは個人差が大きく、ちょうどいい枕を探すことは容易ではありません。
ですから、身体にぴったり合った枕を探したいときには、専門家の手を借りると良いでしょう。身体の状態を見てもらい、アドバイスを受けながら枕を選べば、きっと最適な枕に出会えるはずです。
心身の健康を考え、バランスの取れた食事を取ることや運動に力を入れている方はぜひ、脳の健康のために枕選びにも注力してみてください。
この記事の監修者
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医学博士/脳科学者
中野信子 -
東京大学工学部 応用化学科卒業
東京大学大学院 医学系研究科脳神経医学専攻 博士課程修了
フランス国立研究所にて博士研究員として勤務
東日本国際大学教授に就任
京都芸術大学客員教授に就任
森美術館理事に就任
現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。
科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。