
寝不足と食欲の関係とは?
太りやすい原因は睡眠にあった?

私たちの永遠のテーマである「美容」。
巷に出回る無数のダイエット情報。市場に溢れるダイエットグッズ。何が正しいのか、何が自分に合うのか、本当に結果に繋がるのか等、ダイエット開始前から多くの疑問や不安と格闘している方が少なくありません。
我慢して、努力して、お金も使って結果が出ないという悔しい思いは誰もしたくないですものね。
今回は、株式会社SEA Trinity代表で睡眠コンサルタントの友野なおさんに、ダイエットと睡眠の関係について実体験を交えながら解説していただきます。
寝不足と食欲の関係とは
色々考えて取り組み始めたはずなのに、リバウンドしてしまったり、三日坊主になってしまったりといったダイエットにまつわるお悩みは尽きないようです。かく言う私もその1人でした。
ダイエットして一時的には体重が落ちるものの、その後のリバウンドでダイエット前よりも太るといったことが何度繰り返されたことか・・・。
しかし、重度のパニック障害に悩んでいた時期に睡眠を改善していく中で、何故か体重がスルスルと落ちていくという経験をしたのです。
意図してダイエットしていたわけではなかったので、これは本当に不思議な現象で、むしろ自分が重病にでもかかっているのかと心配になったほど。
具体的には睡眠改善を始めて半年で-7kg、1年経つ頃には-10kgの減量に成功していました。ウエストまわりもかなりスッキリし、前ボタンを何度も漫画のように空中に飛ばしたズボンもゆるゆるになるほどでした。
それまでの私のダイエット経験から、ダイエットとは「必死の我慢」と「ストレスフル」なものだと思っていたので、「勝手に痩せていく」なんて信じられない出来事だったのです。
寝不足が食欲を増進させる?
この摩訶不思議な体験をそのまま放置することを私の好奇心は許さず、睡眠に関連する論文を読み漁った結果、なんと睡眠時間がダイエット時間になっているという真実を知り、衝撃を受けたことを覚えています。
米スタンフォード大学の研究(図1)で、5時間睡眠者は8時間睡眠者と比べて血中グレリン(食欲亢進ホルモン)が14.9%増加し、血中レプチン(食欲抑制ホルモン)が15.5%減少することが報告されています。
さらに、米ペンシルベニア大学の研究報告では、徹夜をすると8時間眠った人たちよりも高脂肪な食事メニューを選ぶことが指摘されています。
食欲が増えてサラダを食べるわけではなく、ジャンクフードや揚げ物、甘いお菓子などのような太りやすいものに対する欲求が強まるわけなので、当然太りますよね。
まずは正しい睡眠時間の確保から
この話をすると、身に覚えのある方がほとんどで、「確かに寝不足の日はラーメンが食べたくなる」、「ジャンクフードが無性に食べたいときって大体寝不足で疲れているときだ!」とおっしゃる方が多いです。
一方で、寝不足の日やその翌日は活動意欲が落ちませんか?いつもなら元気に歩いていけるのにタクシーを使ったり、いつもなら階段を使うのにエスカレーターを使ったり、いつもならジムに行く時間なのにサボったり。こうして活動量が減ることで余ったエネルギーは脂肪として蓄積されていくことになります。
食べる量は増えて摂取エネルギーも高まるのに、消費できるエネルギーは減るという悪循環。ホルモンレベルからの影響を無視してダイエットを続行することは、かなりのストレスを要しますし、継続は難しいでしょう。
なかなかダイエットの結果が出ない方や続かなくて自分の意思の弱さを嘆いている方もいますが、ご自身のせいではありません。
まずは0時までの就寝を心がけ、できれば7時間程度しっかりとした睡眠時間の確保を心がけてみてください。
実際に私がカウンセリングを行った方の中には、「それまで毎日大量のお菓子を食べることが止まらなかったけれど、気付いたら全くお菓子を食べなくなっていた!」という方や、「依存症のようにお菓子をデパ地下で毎日買っていたけれど、今はフルーツのほうが好きになった」という方など、睡眠ダイエットの効果を実感された方々がいらっしゃいます。
ぜひ皆さんも成功するダイエットの入口として「睡眠の見直し」を行ってみてくださいね。
この記事の監修者
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睡眠コンサルタント
友野なお -
株式会社SEA Trinity代表取締役
千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程 順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会 正会員
産業心理カウンセラー

さらに詳しく
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会 正会員
産業心理カウンセラー
自身が睡眠を改善したことにより、15kg以上のダイエットと重度のパニック障害の克服に成功した経験から、睡眠に関心を持ち、順天堂大学
大学院スポーツ健康科学研究科博士前期課程にて睡眠を研究し、修士号を取得。
現在は先進予防医学医学博士課程にて、睡眠と健康に関する研究活動を行っている。
著書に「眠れないあなたを救う睡眠ファースト」(主婦の友社)など多数発売され、韓国・台湾・中国全土でも翻訳され発売されている。
眠れると話題の「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)は9シリーズ発売されるほどの人気。